DATE 2009. 1. 6 NO .



 扉の向こうへと消える、後ろ姿。
 それが誰なのかは、わからない。
 その場所がどこなのかも、そこで自分が何をしているのかも、何も。

 足下から金属に触れているかのような、無機質な冷たさが這い上がる。

 僕は何故か思い悩み、頭の中でのたうち回る感情を言葉にしようとして、
 出来ずに――ただ、俯く。






 揺れる
 光に満ちた 目の前の光景
 ――溶ける



 自分の番が来たな、と。
 他人事のように、心はひどく落ち着いていた。

 兄さんと歩む事は出来なかったけれど、
 同じ場所に、
 同じ光の下にいた事は確かだ。

 その事実を、僕は、忘れない。

「――繋いでみせる」

 この世界で目覚めた事に、ほんの少しでも意味があったのなら。



 次は――共に征けるように。






 暗闇に溶けてゆこうとする 後ろ姿

 次に貴方に会えた時
 僕はその名を 呼べるだろうか







≪あとがき≫
 セシル編の個人的感想と、相互さまのプレイ日記と兄さん言いすぎなセシルに対して思った事を妄想乙、な産物。
 その内「待てよ」を拝みに行こうかと思います。
 テーマは、「消える」と「溶けてゆこうとする」の違いな気がする←





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